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2005年 09月 30日
居候していたHの家を出てから、3週間ぶりに彼と会った。 彼はちょっと疲れ気味の様子で、しかも5分に1度はあくびをしている。 彼は2ヶ月ほど前に結婚したのだが、新婚さんがあくびばかりしていたら、それが何を意味するのかは聞くまでもない。 ・・・のだが、またHのことだから、面白い反応をするに違いない。そこは突っ込まずにいられようか。
努めて平静を装い、笑いをこらえつつ、「どうした? 昨夜何かあって眠れなかったのか?」 と彼に尋ねる。 すると、彼は憂いを帯びた悲しげな目をして、黙り込んでしまった。 あれれ・・・ちょっと予想外の反応。 こないだまで、ビバ結婚生活、と目を輝かせていたのがウソのようだ。 しかし、考えてみれば、敬虔なムスリムのHが 「そっち方面」 のことを友人にあれこれ聞くわけにはいかず、かといってここでは 「肝心な」 情報があふれているわけでもなく、そりゃ、いろいろと暗中模索、「夜のジハード」(注:彼自身の言葉です) においては、さまざまな深刻な問題に直面することもあるだろう。 ここは、「部外者」 の私の出番だ、と思い、及ばずながら力をかそうと、今度は笑いをこらえきれずに決心した。 が、話を聞けば、問題は 「そっち方面」 のことではなかった。 「昨日、妻と大喧嘩し、その後彼女は実家に戻った。 おそらくこれが彼女との最後の喧嘩になるだろう」 と彼はつぶやいた。そのショックで、昨夜は全く眠れなかったのだそうだ。 初めは、何を大げさな、これだから真面目な男は大変だ、と思っていたのだが、話を聞き進めるにつれ、こりゃ確かにちょっと大変かもなあ、であった。 どうやら、奥さんが異常に嫉妬深く、Hが外で他の女性と口をきくのがどうしても我慢できないのだそうだ。まあ、それだけならまだしも、Hが義理の姉妹と口をきくのも許せないのだそうな・・・。 しかも、同性である私がHと話をしていても、私が夫婦で過ごす時間を奪った、という風にとらえ、実は恨まれていたのだそうな。 Hはもう弱りきってしまって、何度も説得したのだけれど、愛しているのは君だけだと何度も伝えたのだけれど、ムダだった、解決策はない、と諦めていた。 Hはとてもプライドが高く、イスラム談義も時にうっとおしかったりもするのだが、私は密かに彼を尊敬している。それは、この厳しいガザの状況下にあって、決して希望を捨てず、目標を持ち続け、そして投げやりになることなく自分のすべきことをやっていこう、という意識を彼が常に持っているからだ。 「自分に出来ることは、イスラムの良い精神を、まずは自分の家族から根付かせていいくこと。それから近所の人々に。それから地域の人々に・・・」 と、彼はよく口にしていた。 大文字の「ISLAM」 について、理念だけを唱え続けるのではなく、いつもそれを、ガザの厳しい現実の中で実践していこうとしていた。 ・・・しかしそのHが、基本の 「夫婦関係」 の構築で、いきなり大きく蹴つまづいてしまったのだ。 そりゃ、本人としては、とてつもないショックだろう。 実際、彼は 「人生で直面した最大の困難だ」 と言う。 ファタハのお偉いさんに逆らったために就職できなくなってしまったことも、兄をイスラエル軍に殺されたこともあるHが、今、それ以上の困難に直面している。 もはや「破局」 の決断を下してしまったかのように見えるHに、とりあえず、 「結論を急ぐな」 と言ってみるが、「ムダだ。もう、ムダだ」 と、Hらしくない返事を繰り返すばかり。 「ガザを良くしていくには10年、20年はかかるが、自分は諦めない」 と言っていた彼とは別人のようだ。 「あんたのジハードとやらは、この程度のものか」 と彼のプライドを傷つけるようなことも言ってみたが、くってかかる元気もない。 重症だ。 「お前の信じるイスラムは、こういう時には何の役にも立たないのか?」 ・・・私は鬼か? が、これまた彼はだんまりを決め込んでいる。 うーむ・・・。 とりあえずは、「夫婦間の諍いと諸々の不一致は当然のことである、気長に関係を築いていくものである」 ということだけは、僭越ながら彼には言っておいた方がいいだろう、と思い、わずかながらも結婚生活の先輩として、今までの 「戦歴」 と「罪状」 を話した。 すると、彼は目を丸くして驚いていた。 「それでも結婚生活を続けているのか!?」 と。 そこまで驚かなくても・・・。 良い方向に、参考にしてもらえれば幸いですが。 まあ、Hのことだから、きっとひょんなことでヨリを戻し、「やはりアラーは慈悲深いよ。夫婦はすばらしいよ。」 などと、むさくるしい顔で目をきらきらさせてのたまうのだろう。・・・そうであるよう願うばかり。
by lusin
| 2005-09-30 06:05
| パレスチナ/イスラエル
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