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2008年 01月 22日
沈黙を破って (下) ~ 現実を映す「鏡」として ~
占領地パレスチナで軍務経験があるイスラエルの若者たちが結成したBTS(Breaking The Silence)。ヨナタン・ボムフェルド(26)は、占領地の現実をイスラエル社会で告発し続けるこのグループの、創設メンバーの一人だ。 かつてパレスチナのヘブロンで兵役に就いた際の、彼の主な任務は、「手榴弾を (投てき装置を使って)二キロほど先のパレスチナ側に撃ち込むこと」だった。だが、手榴弾が落ちる先に攻撃すべき「テロリスト」がいる確証はなく、それが誰の命を奪うのか、彼には知る由もなかった。彼はただ、無線で届く命令に従い、任務を遂行し続けた。 「最初はそんなことをしたくはなかった。でも毎夜同じことを繰り返すうちに、麻痺(まひ)して、ロボットになってしまう。考えること、そして感じることを止めてしまうんだ。今こうやって言うのは簡単だよ。でも、軍務に就き、8時間シフトの中でそれを自覚するのは本当に難しい」 ※ ※ ※ 祖国を守るため。「テロとの戦い」のため。若者たちを支えていた "正義" さえ、日々の暴力的な軍務のなかではうつろになっていく。ヨナタンが経験したのは 「命令に従い、民間人を拘束し、銃口を向け、傷つけ、ひたすら時が過ぎるのを待つ」日常だった。それはあたかも 「自分自身を内側から殺していくプロセスだった」 と彼は言う。 3年間の兵役後、彼の友人の多くはインドや南米に渡り、ドラッグに耽(ふけ)った。「みんな必死で占領地での体験を忘れようとするんだ。イスラエルでは誰も僕らに 『占領地で経験したことを話してごらん』 なんて言わない。占領地での出来事は自分自身の中に封印し、忘れなくてはならない。それは二十歳前後の若者にとって、本当につらいことだよ」 彼自身、占領地での軍務について家族から聞かれたことも話したこともない。「母親に、あなたの息子はパレスチナの民間人を銃撃しましたなんて言えるはずもない。まるで違う二つの世界なんだ。向こうの世界をこちらの世界に持ち込むことはできない。タブーなんだ」 ヨナタンは兵役に就く前、小中学校に出向いて子供たちと接する仕事をしていた。しかし 「軍務のなかで子供に対して無感覚になり、パレスチナの子供を 『何か別のもの』 として見るようになった」 彼は、兵役後、ユダヤ人の子供とも接することができなくなった。再び子供と関われると感じるまで、二年の時が必要だった。 ※ ※ ※ ヨナタンは今も年一度、予備役兵として占領地パレスチナに赴く。3年間の兵役後も毎年課される一ヶ月ほどの予備役の召集をさまざまな口実で逃れる若者が多いなかで、彼はそれに応じている。「僕たちが占領地でパレスチナ人にしていることは決して正しいことではない。占領地に再び兵士として戻るのはとてもつらい。でも一方で、僕はこの国の市民でありたい。兵役を拒否することも、イスラエル国民として正しくないと思う。つまり、どっちの道を選んでも、僕にとっては負けなんだ」 BTSは占領地での軍の行為を批判をしつつも兵役の拒否を呼びかけてはいない。イスラエルでは、兵役拒否をするような「左派」の人間は社会の多数派にアプローチできないからだ。 ヨナタンは言う。「この社会は兵士の言うことには耳を傾ける。僕たちは社会の内側にとどまり、少しでも多くの人々に働きかけたい。占領地で軍務に就きながら平和を求めるなんて欺瞞(ぎまん)だと批判する人もいる。だが、BTSの課題は政治的な主張ではなく、イスラエル社会の前に 『鏡』 を置いて、自分たちの姿をそこに映して見せることなんだ」 占領地の現実から目を逸らし続けるイスラエル社会。深い葛藤のなかで、沈黙を破ろうとする若者たちの試みが続いている。 (大月啓介 / 信濃毎日新聞 2008年1月9日掲載) ※写真 イスラエル軍が占拠したパレスチナ人の民家から見下ろすヘブロンの町。ヨナタンはここから手榴弾を撃ち込んでいた (BTS提供)
by lusin
| 2008-01-22 11:14
| パレスチナ/イスラエル
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