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2008年 01月 18日
沈黙を破って (上) ~ 兵士たち自らの「告発」 ~
2004年6月、イスラエル最大の都市テルアビブで開かれた写真展。壁を埋める数々の写真が、イスラエルの占領下であえぐパレスチナ人と、占領者としてのイスラエル人の姿を見る者に突きつけた。目隠しをされ後ろ手に縛られ、道路に並べられるパレスチナ人たち。「アラブ人に死を」という壁の落書き。封鎖されたパレスチナの街を歩くイスラエル兵とユダヤ人入植者。 ※ ※ ※ 来場者たちは押し黙り、食い入るように写真を見つめた。しかし、彼らの最大の衝撃は写真そのものにあるのではなかった。その写真が「世界一モラルの高い」はずの自国の兵士によって撮影され、軍の名のもとに行った行為を兵士たちが自ら「告発」したことにあった。 会場では兵士たちの証言映像も流された。「投石しているパレスチナ人の子供の足を撃てと命令された。照準を合わせたそのとき、子供は石を拾おうとして屈(かが)んだ。弾は彼の胸に当たり、その子は死んだ」 写真展を企画したグループ“Breaking the Silence(BTS 沈黙を破って)”のリーダー、ユダ・シャウルが来場者に語りかける。「占領地で起きている事をイスラエル社会は知らない、いや知りたくないんだ。この紛争についてイスラエル社会はあれこれ語っているが、そこから抜け落ちていることがある。それは兵士が現場で何を経験しているか、ということだ。18歳の子供が3年間軍服を着て銃を握り、他人を支配する。彼の精神に何が起きると思う?」 ユダは敬虔(けいけん)なユダヤ教徒の両親のもとに生まれた。愛国心に燃える少年時代の彼にとって、軍に入り祖国を守ることはごく自然なことだった。徴兵年齢の18歳になりユダが軍に入隊したのは第二次インティファーダ(占領に対するパレスチナの民衆蜂起)が勃発して間もない2001年3月。彼は占領下パレスチナのヘブロンで軍務に就き、やがて小隊長として指揮をとった。 当時ユダヤ人入植者とパレスチナ住民の衝突が激化していたヘブロンで、ユダは入植者を守るため「占領地で兵士であることが意味する全てのことをした」と言う。「パレスチナ人の民家に押し入って容疑者を捕獲し、検問所で住民を締め付け・・・」 軍務にかすかな違和感を感じることはあったが、自らの "義務" を果たすこと以外考えなかった。 ※ ※ ※ 除隊を3カ月後に控えたある日、その後の人生について思いを巡らせてみたときのことを、彼は「恐ろしい瞬間だった」と振り返る。 「自分が"暗闇" の中にいることを突然理解したんだ。占領地での3年近く、自分が "怪物" だったということを」。それは彼が自分自身とそれを取り巻く状況を、外側から見つめた最初の瞬間だった。 兵士たちの精神状態をユダはこう語る。「兵士は本当には何も見ることも感じることもできない。全ての行為を軍の理屈で正当化する道を探すんだ。朝、目を覚ましたときから、兵士として従うべき命令がある。指揮官であればなお悪い。一瞬でも疑問を持てば背後の50人の部下をも危険にさらしてしまう」 だが、占領地での軍務には決定的な間違いがある。ユダはそれに気づくと、何かをせずに後の人生を歩むことはできないと感じた。そして「占領地の現実を、そこから目を逸らし続けているイスラエル社会持ち込もうとした」 ユダはヘブロンでともに軍務に就いていた仲間に声をかけて写真展を開催した。七千人に及んだ来場者のなかには、別の地域で軍務に就いていた若者もいた。彼らは「これは俺たちの部隊でも起きていたことだ」と口々に語った。ユダは言う。「写真展によって語られたのは、イスラエルの同世代全てに関わる物語だったんだ」と。 (大月啓介 / 信濃毎日新聞 2008年1月8日掲載) ※写真 外出禁止令を破ったとしてイスラエル軍に拘束され、「教育」されるパレスチナ人たち=ヨルダン川西岸ヘブロン BTS提供
by lusin
| 2008-01-18 16:41
| パレスチナ/イスラエル
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