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2006年 11月 05日
今日の東京新聞の朝刊に、ガザの兵器に関しての記事を掲載しました。
これは、もっと早くに出す予定だったのですが、諸事情で遅くなり、そうこうしているうちに、ガザへの新たな侵攻が始まってしまいました。一昨日も書きましたが、その侵攻は今も続いています。 今のガザの状況を見れば、兵器の「残虐性」や「合法・非合法」 という点について語るのは、ある意味で空しさがあります。たとえ仮に、ある兵器の使用が完全に 「クロ」 とされたとしても、今の世界の現実政治の中で、「力を持つ側」 の違法行為を罰することができる可能性は限りなくゼロに近く、それはつまり、それを止めることが難しいということですから。 それに、人を殺すための 「正しい兵器」 と 「正しくない兵器」 があると考えるのは、まったくもってナンセンスな話だと思います。 もちろん最低限の一線として、人々の希望と妥協の産物として生まれた「戦争にまつわるルール」 に違反しているかどうかは、厳しく見続けていく必要があるのは当然ですが、その土俵のみに囚われずにいることも、当然ながらやはり大切だと思っています。 他者・危険な存在・敵、あるいは究極的にはテロリストという烙印を押された側を「異物」 として、まさに「排除」していこうとする行為、そしてそれを支えている一人一人の意識に目を向けていくことが大切なのではないか、などとナマイキなことを思ったりもします。 東京新聞の許可を得て、以下に全文を転載します。 ※ ※ ※ ※ パレスチナで“未知の兵器”被害 今月1日、イスラエル軍によるパレスチナ自治区ガザへの新たな侵攻が始まり、同地区は緊迫度を増している。同軍は、レバノン攻撃では濃縮ウランを含む兵器を使用したとされる。一方ガザでも今年6月からの侵攻以降、被害者に「不可思議な兵器被害」が出ている。現地情勢をウオッチし続けるジャーナリスト大月啓介さん(33)のルポをお届けする。 ガザ北部にあるガザ市。私は地区最大のシファ病院を訪ねた。ガザの医師を困惑させているという、イスラエル軍の「未知の兵器」による犠牲者への不可解な症状を取材するためだった。一階のICU(集中治療室)に足を踏み入れ、その光景に息をのんだ。 体中に穴が開き、骨をのぞかせ、息も絶え絶えの少年。小学校三年生のサアド・ガンディール君(9つ)だ。ガザ中部の「マガジ難民キャンプ」で空爆を受け運ばれてきた。このほかにも体を焼かれ、人工呼吸器につながれた人々。自分が脚を失ったことも知らずに横たわり、眠り続ける人々。静かなICUに、患者に取り付けられたモニターの無機質な音が響いていた。 彼らの症状は、ガザの経験豊富な医師たちにとっても、まったく未知のものだった。ヒッシャーム医師は説明する。「患者の体は、ひどく焼けただれ、切り刻まれ、そして骨に達するまでにひどく焼けている」「患者の体に何十、何百という小さな穴が開いている。レントゲンに写らない破片の入り口で、内部は焼かれ、深い穴が開いている。この物質が何であるのか? われわれにはわかりません」 特に顕著なのが、下肢を鋭利な刃物でされたように切断された犠牲者が多いことだ。内臓が損傷しているが、その傷をもたらした破片が見当たらない、という奇妙な症状も見られる。さらに、容体が安定していても突如絶命する犠牲者もいる。このような例に至っては、医師には全く打つ手はない。しかしガザには、この未知の兵器を特定できる施設はなく、医師の誰もがこの不可解な症状にただ困惑し、憔悴(しょうすい)していた。 ガザの保健省では記者会見が開かれた。バーセム・ナイーム保健相はこの窮状を記者団に訴え、未知の兵器に関する調査を国際社会に強く要求した。調査に着手したといわれる世界保健機関(WHO)の現地オフィスはこうコメントした。「これは極めて複雑かつ政治的な問題。確たる証拠なしにわれわれはどんな声明も出せない。まだ詳細な調査結果はなく、今後の長いプロセスを経る必要がある」 ■銅、アルミなど体内から検出 こうした未知の兵器による爆撃が始まったのは今年六月ごろから。その約三カ月後、イタリアのテレビ局が、この兵器の調査結果を報道した。この記者チームはガザの被害者の体内から摘出された粉末をイタリアに持ち帰り、その分析をパルマ大学の医師に依頼していた。医師は報告書の中で、その粉末からは、通常ではあり得ないタングステン、銅、アルミニウムなどが検出され、米軍が開発したDIME(Dense Inert Metal Explosive「高密度不活性金属爆薬」)と呼ばれる兵器の可能性があると示唆した。 DIMEは、着弾時の殺傷範囲を狭くとどめ、周囲の民間人の「巻き添え被害」を減らすことを目的に二年前にアメリカで実験に成功した兵器。その開発の背景には、アフガニスタン、イラクでの度重なる民間人の犠牲への批判の高まりがあるといわれる。 通常の砲弾や爆弾は、鉄などの固い金属の外皮で覆われ、爆発時にその破片が飛散し殺傷力を高める構造だ。それに対し、DIMEは、爆発時には簡単に分解する炭素繊維を外皮としている。それにより殺傷範囲は通常弾より狭いものとなるのだが、問題はその中身だ。 爆薬と一緒に充填(じゅうてん)されているタングステン粉は、空気抵抗により広範囲には飛散しないものの、爆発時も金属形態を保ったまま極小の破片として人体を貫く。同時に、爆発によって帯びた高熱によって肉体組織を焼くことになる。 つまりDIMEは通常の爆弾と比べ「より狭い範囲に対して」「高い殺傷力」を及ぼす兵器といえる。 この兵器の支持者は「(巻き添え被害を減らすため)人口過密な場所での使用にパーフェクト」と語ったという。 その「パーフェクトさ」は、ガザの現場で、私が抱いたある疑問に対しての、一つの回答かもしれない。 ■20人の集まり死傷者は5人 ガザ中部の難民キャンプでのこと。約二十人が集まり、通りの脇に腰をかけ、くつろいでいた。そして「人口過密な」彼らの真っただ中に、イスラエル軍の無人戦闘機からミサイルが撃ち込まれた。二人が命を落とし、三人が重傷を負った。この過密状態で死傷者が「五人のみ」という点を奇異に感じたが、仮にそれがDIMEだとすれば、この兵器の支持者が主張する「有効性」が実証されたといえるのかもしれない。 しかし、ひとつの大きな疑問が残る。そもそも、「その人々の中に狙うべき『標的』などいたのだろうか」。彼らは、武装活動とは無縁の人々であった。同じキャンプで十四歳の少女ファドアさんとその母親ハサーンさん(37)も犠牲になっている。母娘は夕方に庭先で涼むのが日課だったが、そこをやはり無人偵察・攻撃機からのミサイルが襲った。攻撃の対象となった二人は、見渡しのよい庭の真ん中にいた。イスラエル軍の高性能偵察機は二人を識別できていたはずだ。 ■「通常兵器しか使っていない」 標的とされた母娘は、「テロリスト」だったのだろうか? イスラエルの報道官は、DIMEの使用に関する私の質問に対し、それを否定し、「われわれは『通常の兵器』しか使用していない」と繰り返した。開発されて間もないDIMEは今まで“公式”には実戦使用された記録はなく、「違法」な兵器とはされていない。 しかし、前出のバーセム保健相は、記者会見でこうも訴えた。「忘れないでください。その兵器が何であろうと、民間人を、女性を子供を殺傷すること自体が、明らかな国際法違反なのです」 庭先でくつろぐ母娘の上に、突如ミサイルが降ってくる。その時、その兵器の「性質」も「名称」も、もはや重要なことではない。二人は命を絶たれたのだ。 その母娘の命を奪ったその兵器が仮に、「民間人の巻き添え被害を減らすために」開発された「より人道的な」兵器だったとしたら、何という不条理だろうか。しかし、このような不条理は、ガザでは日常の出来事なのだ。ガザの人々は、何度も私に語った。「われわれは、新兵器の実験台にされている」 六月に新たなガザへの侵攻が始まってから、三百人以上が命を落とした。大きな監獄・ガザで、忘れられ、傷つけられ、殺されゆく人々がいる。彼らの声を、世界は聴くことができるだろうか。 <デスクメモ> ガザ周辺も朝夕はジャンパーが必要なくらい秋めいてきたという。サアド君は転院を繰り返し、今は自宅で治療を続けているそうだ。北朝鮮も核実験前はさかんに住民に注意を喚起していたが、被爆などの被害は出ていないだろうか。どこの国でも「不可思議な兵器」の犠牲になるのはいつも一般市民だ。 (蒲) おおつき・けいすけ 東京都中野区出身。早稲田大学商学部卒業。テレビ番組制作会社日本電波ニュース社に入社しアフガニスタン、パキスタンの紛争地域を取材。現在、中東を拠点に活動する。
by lusin
| 2006-11-05 21:14
| パレスチナ/イスラエル
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