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2006年 11月 03日
今朝、宿のテレビを見ると、アラブのTV局がガザ北部の町・ベイトハヌーンのニュースを流していた。2日前からの侵攻で、その町では20人が死亡し、100人以上が負傷したとレポートされていた。そして、侵攻は今も続いていて、その映像が流れている。
以前記事に書いたけれど、この町は、7月の侵攻時に取材していて、私と一緒にいた助手がイスラエル兵によって狙撃された場所だ。 ここには今まで何度も足を運んでいて、知り合いも多い。 昨日の段階では、知人の家族は皆無事だったが、今日、あらためて電話してみた。しかし、つながらない。ネットで記事を見てみたら、その町の新たな何人かの犠牲者の名前が載っていた。知った名前がないかどうか、確かめる。見知らぬパレスチナ人の名前が並んでいることに「ほっとしている」自分にひっかかりつつも、私が知っていようがいまいが、犠牲になった人たちがいるということには、何のかわりもない。 何度目かの電話でやっとつながり、その家族の大学生の娘がでた。 当然だろうけど、ひどくくたびれた様子であった。あいさつもそこそこに、皆無事かと聞くと、「お母さんが撃たれた」と彼女は言った。その家族は、小学生の娘も2年前の侵攻時に頭部を狙撃されて瀕死の重症を負っている。 「なんで??」 思わずバカな質問をする。何でもへったくれもない。パレスチナで人々が撃たれるのに、砲撃されるのに、理由などいらない。 彼女の娘も、窓から外を眺めているところを、狙撃されたのだ。 「イスラエル兵よ、決まってるでしょ?」 「じゃなくて、どうして撃たれたの? 容態は?」 「デモに参加していて脚を撃たれた」 お母ちゃんは、町の中で今朝行われた、侵攻に抗議する女性たちによるデモに参加していて銃撃されたと言う。不幸中の幸い、撃たれたのは脚で、重症ではないとのこと。 本人の話ではないので、詳しい状況は分からない。しかし、ガザで軍事封鎖中の町で、それも女性だけでデモをやるというのは、ちょっと信じがたかった。恐らく、私がその町にいたとしても、そのデモの取材はしなかっただろう。あまりに今の状況では危険が大きすぎる。以前の苦い教訓もある。女子供だろうが、医療スタッフだろうがジャーナリストであろうが・・・今のガザでは、何の違いもない。で、実際、お母ちゃんは撃たれてしまった。また、パレスチナ人のカメラマンもそのデモを撮影中に狙撃され、重傷を負ったと言う。 お母ちゃんの命に別状はないということでほっとすると同時に、以前、横にいた助手が狙撃されたときのことを思い出して、背筋が寒くなった。乾いた銃撃音と、助手の「脚が!脚が!」と叫ぶ声、その時の彼の表情。そして、私の中ではそれと一まとまりの経験として刻まれている、わずか数十分違いでその場所で肉片にされてしまった犠牲者の姿。今でもたまに脳裏に浮かぶ。 その後も宿のテレビでは、ベイトハヌーンの続報が流れていた。ガザでのここ3日の死者の数は25人に増えていた。電話で聞いた「女性によるデモ」の映像が流れている。本当に、女性たちが行進をしている。そして、その女性たちに向けて、銃撃が始まった。逃げ惑う女性たちの中で、一人の女性が倒れ、動かなくなった。誰がどう見ても、丸腰の女性たちによるその行進に対して、銃弾が撃ち込まれ、一人の女性が命を落とし、十人以上の女性が負傷した。 あの、ひっきりなしに迫撃砲やミサイルが落ちてくる状況が、そして、どこに狙撃兵が潜んでいるのか分からない状況が、正直に言うと、私は本当に怖い。でも、そういう環境に否応なしに暮らしている人たちが実際にいる。そして、そのような世界に生きるということを、母親としての立場から度々私に聞かせてくれたお母ちゃんが、あの危険極まりない行動に加わり、銃撃された。 映像では、女性たちが 「アラーは偉大なり」 と口々に叫び、行進していた。報道によると、電話での話とは少し違い、この行進はモスクに追い詰められて包囲されていた武装勢力のメンバーを逃がすための行動だということだ。パレスチナ人ならば、あの状況でそんなことをすれば、女性であろうと何であろうと、銃撃される可能性は十分にあるということは、誰にでも考えられたはずだ。「テロリスト」を匿う者は同罪。わけなく正当化されるだろう。それにも関わらず、彼女たちをそこに駆り立てたもののことを考える。 イスラエル軍の広報官へのインタビューが流れていた。 「女性に扮した武装勢力がいるので、撃たざるを得なかった」 てなことを言っていた。彼女は、以前私が民間人の犠牲について聞いたときにも、「武装勢力が彼らを盾にしているので仕方なく云々」 とお決まりのコメントをしていた。 6月に始まったガザへの侵攻は「夏の雨作戦」、今週始まったこの侵攻は「秋の雲作戦」と言うのだそうだ。そのようなふざけた名の下に、戦争犯罪は今も続いている。
by lusin
| 2006-11-03 22:22
| パレスチナ/イスラエル
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