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2005年 09月 15日
撤退が完了したということは前回書いたけれども、その後のパレスチナ側の対応に、ちょっと脱力中。まず、返還された入植地になだれ込み、廃墟の中からいろいろなものを漁るのは、まあ良いとしよう。 捨てていったものなのだし。 「立つ鳥跡を濁さず」 という言葉をイスラエルに教えたいほどの、中途半端な 「撤去」 の仕事の後片付けを手伝っている、ともとれる。
しかし、ユダヤ教徒のシナゴーグ(教会にあたる)に火を放ったり、そこからモノを持ち去るというのは、ちょっと見ていて正直いい気はしない。 嬉しさ大爆発ではしゃぎたいのは分かるし、パレスチナ側もイスラエル軍にモスクを破壊されているのだから同じことをしてもいい、という考えもあるかもしれない。 けれど、そこをぐっと踏みとどまり、「それはそれ、これはこれ」 ということで、「敵とはいえ、彼らにとって神聖な場所は、きちんと敬意を持って扱う」 という判断が仮に自治政府によってなされて、しかも人々もそれをきちんと守っていたならば、もうパレスチナ人の株もストップ高、という感じであったのに・・・期待しすぎかもしれないけれど、そんな姿を見てみたかったが・・・もう、おそらくはイスラエル側の期待通りに、かどうかは知らないが、「やりたい放題な」 パレスチナ人の姿を世界中にさらしてしまったのだった。 しかも、パレスチナ側が引き継ぐために入植者が残していくことになっていたビニールハウスからも、パイプやら何やらを持ち去っていて、これは全くもっていただけない。 これからガザの食い扶持を稼いでいく、大事な大事な道具を自分たちで壊してどうするんだ?? それを取り締まらない軍や警察は、もっといただけない。 普段何もしてないんだから、こういう時くらい、ちゃんと仕事しろ、と声を大にして言いたい。 で、昨日は、大勢のパレスチナ人が、エジプトとの国境沿いの高さ7,8メートルはある鉄の壁をよじ登り、あるいはわずかな隙間をこじ開けて、エジプト側に乗り込んでいた。 まあ、一般の人々がそのような衝動に駆られるのは仕方がないとしよう。 が、それを取り締まるのが、警察や大勢いる治安組織の仕事だろうて。 大混乱の国境ぎわを、治安部隊の数人連れが人ごとのようにそれを眺めながら歩いている。 「何で取り締まらないの?」 と聞くと、やはり、「皆嬉しいし、これだけの人数を止められない。」 とのたまう。 その一方、私には 「撮影するな」 などと取材規制しようとする。 撮られて困ることなら、しっかりと取り締まりなさい。それがあんたらの仕事でしょうて。 壁の隙間から、阻止ようと叫んでいるエジプト側の警備の姿が見える。 ・・・ が、やがて多勢に無勢、ということで、諦めた様子。 壁をよじ登る人々、わずかな隙間をこじ開けて体をねじ込む人たち (太ったおっちゃんが通過できずに悔しそうであった) を後に、しばらく壁沿いに歩いていくと、驚いたことに壁が取り払われ大開放されていて、皆が堂々と通過している。皆、何のチェックもなしに、嬉々としてエジプトに向かっていく。 じいちゃんも、おばちゃんも、ちびっこも、兄ちゃんも。 エジプト側からも、ガザにやってくる。 それはもう、天国から 「なんじゃこりゃあ!」 という声が聞こえてきそうな光景であった。 もちろん、皆の嬉しそうなことと言ったらもう・・・ そりゃそうだ、パレスチナ人の生活を無視して勝手にこさえられた国境によって、かつて一つだった町が分断され、親戚にもずっと会えなかった人びとが大勢いるのだから。 この突然の国境開放も、アラブ的寛容さ、適当さ、ということで笑ってすませたいし、実際、密入国経験者の自分は、「それくらい、いいだろう?」 なのだけれど、でも、やっぱ・・・まずいよなあ、これは。 何がまずいかというと、今、「撤退後のガザは如何に?」「パレスチナ人は本当に自分たちを統治できるのか?」 という世界の目が、時に意地悪く注がれているこの今、どうしてそのような行動を防ぐように努力しないのか。 大多数の人は、そんなことにまで考えは及ばないはずだ。 が、それを指揮するのが、少なくともお偉いさんの仕事でしょう。 そしてそれを実行するのが、掃いて捨てるほどいる治安組織の人たちの仕事でしょう。 特に、ラファハのガザーエジプト国境の開け閉めというのは、ガザの今後にとってはまさに死活問題なのだから、今の状況で、国境に関わる行動には慎重になってなりすぎることはない。 臨時で国境を大開放する特例はもちろん良いと思うけれど、それは人々の勢いに圧倒されての、今回のようななし崩し的な形ではなく、きちんとしたやり方があったはずだ。 実際、絵に描いたような今回の国境の混乱に、イスラエルは「懸念を表明」 している。 これを言いがかりに 「やはりエジプトとの国境は渡せない」 とでも言いかねない。 それに、パレスチナの人々にとっても、「これからは今までとは勝手が違う」 「決まりは守らなくてはいかん」 という姿勢を、自治政府は初めからびしっと示しておくべきだと思うのだけれど、もう、出だしからこのようなことでは、今までと何も変わらん。 案の定、昨夜はBBCで、ガザーエジプト国境沿いの無軌道ぶりが繰り返し繰り返し流されていて、パレスチナ人の「統治能力のなさ」(とエジプト側の国境警備のいい加減さ) が世界中にイヤというほどさらされてしまったのだった。 もっとも、さっき見たら、BBCは、エジプト・パレスチナ間の越境者に多少共感を示すようなレポートをしていたが。 で、今日はというと、大統領のアブ・マーゼンが呼びかけて、パレスチナの全党派による撤退祝賀式典が入植地の跡地で行われることになっていたのだけれど、肝心のアブマーゼンはなぜか欠席だし、ハマスは参加しないし、で話にならない。せっかくアブマーゼンの男っぷりを見たかったのに、がっくし。 聴衆の集まりもイマイチ。しかも、式典の最後にはトラブルがあり、尻切れトンボで終わった挙句に、すぐそばで揉め事の発砲音がしばらく響いていた。 撤退後の、パレスチナの一体性とアブ・マーゼンのリーダーシップを示すはずの式典は、全く逆のものを示すことになった。 今度は、天国から「ダメだ、こりゃ!」 という声が聞こえてきた。 ちなみに、式典の最後のトラブルとは、あるラップグループ(前々回の記事のラップグループではない)が舞台に出て歌いだしたのだけれど、聴衆からのブーイング、投石、発砲などが起きて、警察に守られて退散した、というもの。 そのラップグループは、ガザでは若者にはけっこう人気があるらしいが、なぜに老若男女の参加するこのような式典でラップなのか、は少々なぞだった。 私と一緒にいた高校生も彼らの大ファンだということだけれど、「ちょっと場違いで、皆が怒るのも分からんでもない。」 と。 あるおっちゃんは、「どうしてパレスチナ人にとっての式典に、あんなわけの分からんアメリカの音楽を歌わせるのか。」 と、怒り心頭の様子であった。 高校生は、「彼ら、生きて逃げられたかなあ。」 と心配していた。 以前の記事に書いたような「意外と許容量が大きい」 というのは、もちろん人によりけりで、やはり一般にはラップは受け入れられていないのか・・・。 でも、石を投げつけることはないでしょうが、かわいそうに。 式典はどっちらけムードのうちに終わり、これからのガザの行く末を暗示しているかのようで、またしても脱力してしまった。 というわけで、溜まったうっぷんは今日のうちに吐き出したので、もう寝ることにしよう。
by lusin
| 2005-09-15 07:59
| パレスチナ/イスラエル
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