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2005年 08月 27日
居候先のHは今、MSF(国境なき医師団)で通訳として働いているのだが、先日、彼はMSFの外国人医師を自宅に招いた。 そこに、私もお呼ばれした。 遅れて到着すると、すでにアメリカ人医師、ドイツ人医師、ラファハのNGOで活動している日本人のTさんがいた。 二人の医師は、半月ほど前にガザにやってきた。
ラファのことや、以前MSFで彼が勤務したスリランカの話、私がアフガンで会ったMSFスタッフの話などをアメリカ人のBとあれこれ話していたのだが、その後、彼は自分のリュックをごそごそしだし、おもむろに何かを取り出した。 なんと、それはオランダのビール AMSTEL であった。 このビールには、エルサレムなどではちょくちょくお世話になっているのだが・・・ここラファハで酒を飲む、という発想は持ったことはなかった。 イスラムの強いガザ、その中でも殊に保守的なラファハ、さらにここは非常に敬虔なムスリムのHの家だ。 さすがにここではまずい。 やめましょう、と私とTさんで必死に制止する。 まあいいじゃないか、とかまわず栓を抜こうとする彼を、頼むからやめてくれ、とお願いして思いとどまってもらった。 幸い、Hも他のパレスチナ人もビールは見ていなかったようだ。彼は、ラファハに来て間もないということもあり、「酒を飲めなくて大変だろう、実はいいものがあるんだ、まあ飲もうや」 という、とてもフレンドリーなノリであった。 好意は嬉しいのだが、この家で酒なんか飲もうもんなら、私は追い出されてしまう。 その後、しばらくして、彼はHに尋ねた。 「ところで、君は新婚だというけれど、奥さんは一体どこに?」 料理などは、Hの妹たちが運んできていて、新妻は一度も姿を見せていなかった。 ここでは、若い女性は基本的には男性の来客には姿を見せることはない、と私は二人に説明した。すると、 「何で?」 二人から素朴な疑問がHに向けて発せられた。 このお題目は、私は何度となくHと話し合ったので、もう私は 「なぜ」 と問うことはないのだが、この社会になじみのない人が「なぜ」 と問うのはごく当然のことだ。 「女性は、宝石なんです。 男性が守らなくてはいけない存在なんです。(だから男性の目に触れされてはいけない)」 私にはもう耳タコな文句が、再びHの口から二人に対して発された。 この考えには、日本の普通の感覚からすると突っ込みどころ満載だ。で、実際に私はかつてはあれこれ突っ込んできたのだけれど、この欧米の二人のドクターの反応やいかに・・・私は二人の顔を注視した。 しばしの沈黙のあと、アメリカ人のBが口を開いた。 「・・・宝石なら、俺も見たい。」 そうか・・・そういう切り返しがあったか・・・さすがアメリカ人、私は妙に感心してしまった。が、こんな突っ込みにHがたじろくはずはもちろんなく、彼の「イスラムの女性観」談義が始まった。 それを聞いて、どうやら二人は少々しらけてしまったようであった。 Hもそれを遅ればせながら察したのか、いつもより早めにスピーチを切り上げた。 その後、帰り際、Bは私に先ほどのビール差し出した。 「パレスチナと日本の友情のために。」 と言って。 なぜに日パ友好のためにアメリカからビールが贈られるのかはなぞだが、「断れない日本人」 な私は、その好意を再び断ることもできず、ありがとうと言って受け取り、さっと隠した。 が、Hはその様子を見ていて、とても気まずい。 後でHに、「頼むから、この家では飲まないでくれよ。 捨てるにしても、どこか遠くで、ちゃんと処分してくれよ。」 と、念を押される。居候の分際で、大変なものを抱え込んでしまったなあ。処分するにしても、誰にも見られずに処分する自信はない。ちびっ子などに見つかろうもんなら、えらいことになる。それは避けたい。 というわけで未だに、そのビールは飲まれるでも なく処分されるでもなく、カバンの中に眠っているのであった。
by lusin
| 2005-08-27 06:21
| パレスチナ/イスラエル
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