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2005年 05月 23日
友人のRと一緒に外で食事をした後、夜道を二人、テクテクと歩いていた。
不意に、Rが「お前はどうやって結婚相手を見つけたのか?」と聞いてくる。 なぜにそんなことを知りたいのか、と逆に聞き返すと、「俺は、ここパレスチナでは、結婚相手を見つけるつもりはないんだ」とのたまう。「パレスチナの女は、愛ではなくて、結婚自体を目的にしてるんだ」と。 まあ、この手の話は、それなりに「開けた」考えを持っているパレスチナ人からは、何度か聞いたことがあったので、そんなもんなのかなあ、と聞いている。 しかも、彼は大学時代を一言も女性と話さずに終えてしまったという奥手だ。その彼がどうやって「パレスチナ女性の結婚観」を形成したのか、少々怪しい。 が、彼は続ける。 「それに、どう思う? 一度も会ったこともないような相手と婚約して、その後に関係を作っていくんだぞ。まるでギャンブルじゃないか。」 この地でこんなことを言う彼は、かなりの変わり者だ。 「それはそれでいいんじゃないかな、まあ、それも運命ということで。 ひょっとして相性バッチリかもしれないし、恋愛結婚でもギャンブルには変わりはない」と適当なことを言う私。 「でも俺は、しっかりと自分たちで愛を確かめ合ってから、一緒になりたいんだ」 おお・・・なかなか日本では耳にすることのないようなイカした言葉が、控えめなRの口から飛び出した。 「そもそもここでは、自分にふさわしい女性と出会うチャンスがないんだぞ」 ・・・確かに。 大学生であれば、まだかろうじて、キャンパス内での出会いに賭けることもできるだろう。しかし彼はそのチャンスも全く生かさずに、数年前に卒業している。現在、Rは学校の教師を二つ掛け持ちしているが、どちらの学校にも女性の教師はいない。しかも、男子校。更に、街中での出会い、いわんやナンパなど、ガザの社会では120%あり得ない。 「出会いを求める男」にとっては、確かにあんまりな環境ではある。 ここでは多くが、親のアレンジによって相手を見つける。親戚同士での結婚も少なくない。 で、「真の愛」を求める彼がたどり着いた人生の打開策は、どういうわけか、「メキシコへ行く」 であった。 彼の描くメキシコのイメージ。 街中にロマンスが溢れかえっている。 老いも若きも、男も女も、いつも踊っている、歌っている。 どこで聞いたのか、マリアッチ。 しかも物価がガザより安い。 そして何よりも。 「自由とチャンスの国」アメリカへの密入国の前庭、である・・・。 「・・・アメリカ入り、狙うの? 危ないよ。 撃たれるぞ。」 「メキシコにしばらく住んで、落ち着いたら、ね。 タワッカルナー・アラ・アッラー・・。(我々はアラーに帰依している / アラーが守りたまふ)」 メキシコの空にもアラーはいるだろうか。 別れ際、彼が「やることがあるから、まだ今日は寝れないんだよね」と言うので、何すんの? と聞くと、「明日は朝から、ドイツ語のレッスンがあるから、帰ったら予習しなくては」とニヤリ。 ・・・えーと、メキシコで使われているのはドイツ語ではなくて、スペイン語なんだけど・・・と、危うくヤボなことを言いそうになる。 もう半年ほど習っているというので、言いづらいということもあるが、この際だから、このままメキシコに乗り込んで、現地で衝撃の事実を知るというのも、また一興だろう。 きっと、彼がオヤジになってから、子供や孫に聞かせるかなりいいネタになるはずだ。たぶん。 圧倒的多数のパレスチナ人の若者にとって、「外国へ行く」=「欧米に行く」ということだ。かつては、旧共産圏もかなりメジャーではあったが。 その中にあって、Rの選択・・・「ここ、恋愛ご法度のガザから、歌って踊れる国、ロマンス溢れる国・メキシコ」への挑戦。 「欧米で学位を取り、帰国して良い職に就き、よい暮らしを」という王道に背を向けての、直の「欲望の地」へのダイブ。 Rよ,地味な印象に似合わず、ノビーこと落合信彦氏の若かりし頃を思わせる、破天荒さではないか。気に入った。何を考えているのかは正直言ってよくは分からないが、とにかく応援するぞ、陰ながら。
by lusin
| 2005-05-23 23:33
| パレスチナ/イスラエル
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