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2005年 05月 15日
ある集会に行って、ハマスのメンバーがスピーチをするのを聞いていた。 「停戦中にも関わらず、我々の仲間が殺されている。 どのような状況であれ、今後パレスチナ人の体にイスラエル兵の放った銃弾が触れるようなことがあれば、我々は現在の停戦を破棄する」 正直驚いた。 もちろん、ハマスのメンバーが独断でこのようなスピーチをするはずはなく、これは組織の見解だ。ハマスは、恐らく一般的には「狂信的なテロ集団」というイメージがあるだろうが、実際には非常に巧妙な戦略をとり、現実を見極められる組織だ。 そのハマスが、国政選挙に初めて打って出ようという微妙な時期に、自らの選択肢を狭めるような判断をするとは思わなかった。 その話をパレスチナ人の友人Aにすると、 「家族が殺されて、黙っていろというのか? 彼らは、パレスチナ人の命を守るために、イスラエルに報復するのだ」 と言う。 それは違うんでは、と私。 「もし、本当にパレスチナ人の命を守りたいのだったら、何をされようが、じっと忍の字で耐えること。それが、現実的にみて最善の選択だ」 「イスラエル人を1人殺したら、10人のパレスチナ人が殺されるということは、子供でも分かる現実なのだから。」 Aは、それはそうだが、とは言うものの、あまり納得のいかない様子で黙っているので、こちらから言葉を継ぐ。 「要は、彼らはパレスチナ人の命を守りたいというよりは、彼らの尊厳を守りたいということなのでしょう? 彼らにとっては、パレスチナ人の命よりも、パレスチナ人としての誇り、あるいはハマスの戦略の方が大切ということなのでしょう?」 腑に落ちたという表情で、彼は言い切った。 「そうだ、当たり前だろう、命よりも、尊厳の方が大切だ」 このような考えに真っ向から反論できるパレスチナの男は、少なくともここガザでは、まずいないのではと思う。 仮に万が一、違和感を感じていたとしても、それを公言できる社会ではない。 「一人の命は地球よりも重いのです」などと口走れば、ほぼ間違いなくキチガイ扱いされるだろう。 そのような社会や人々の認識を、どうこう判断するべきではないし、するつもりもない。 彼らはそのような社会で、そのように生きている、と受け止めるしかない。 そして、そのルーツの大部分はイスラムから来ているのだろうけれど、それを更に確固とするに至った、パレスチナがたどってきた困難な歴史と現状を見なくてはいけない。 こういうお題目でパレスチナ人と話すと、そのつもりが全くなくても、パレスチナ人やイスラムを批判をしていると受け取られることが多いので、慎重に言葉を選んで話す。 それに、よそ者が「あなた達はこうすべき」などということは言えないし、実際、このような思想をどう受け取っていいのか、確固としたものが自分の中にあるわけでもない。 ただ、少なくとも、今のこの時期に本格的な報復に出て停戦を破棄することは、ハマスどころかパレスチナにとっても全く利にならないと思う、とは伝える。 もっとも、戦略的なハマスのことだから、私などは考えの及ばない、あるいは当たり前すぎて見えない「利」があるからこその判断なのだろうが。 しかしどのような理由があろうと、「国際社会」なるものは、パレスチナ側が「テロ」をすると、そこに至った経緯を全く無視して、「ああ、やっぱりね」「ほれみたことか、停戦なんかあいつらは守れっこないんだ」と受け取るのは、明らかだ。そして、もちろん、尊厳のためであろうと何であろうと、また多くのパレスチナ人が命を落とすのも、火を見るよりも明らかだ。
by lusin
| 2005-05-15 03:57
| パレスチナ/イスラエル
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