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2009年 07月 16日
かつて恋人を奪われ(?)傷心のあまりに血迷い、
10人ものガールフレンドを物色していた男、悩めるA。 しかし彼は同時に、「俺は現実的になるよ」 とも語っていた。 その後Aは、言葉どおりに地道な努力を重ね、 仕事に学業にと精進を重ねていた。 かつての恋人にはもう子供もできている。 何かに打ち込み、彼女のことを忘れようと努めてきたと言う。 その甲斐あって、大学での講師の仕事も順調、 彼の若さにしては、なかなかの給料をとっている。 一念発起して入った修士過程での論文も、もうすぐ完成。 修士をとれば、給料もさらにアップ。 最初に会ったときはプータローだったことを考えると、すごい進歩だ。 イスラエルに周囲を封鎖され、パレスチナ内部は分裂し・・・ と大変困ったガザの状況の中、「先のことなど考えてもムダだ」 とやけっぱちな若者も多いが、Aの逆境をバネにした行動には、 感心させられる。失恋もしてみるものだ。 そのバネも、かつてはおかしな方面に向かいかけたようだが、 本当に前向きな方に向かったようで、よかったよかった。 そして彼は今、満を持しての婚活の真っ最中。 この3ヶ月の間に、Aは5人の娘と顔を合わせてきた。 しかし、まだ「これぞ」という女性にはめぐり会っていない。 なかなか望みが高く、「嫁選びに妥協はしない」 とキッパリ。 さて、ガザではどのように嫁探しが行われるのか。 以下、Aの家のケース。 まず、母親が世話焼きネットワークを駆使して、 「うちの息子にふさわしい娘はいないか」 と聞いて回る。 そして白羽の矢の立った娘の家に、母親が挨拶をしに行き、 息子が嫁を探している旨を先方に告げる。 その申し出を相手が承諾すれば、次は素行調査。 相手のご近所や、勤め先などに探りをいれる。 これは娘本人よりもむしろ、「家柄」についてのチェック。 Aにはかつて、自分が難民の出だという理由で、 愛する女性と結ばれなかったという苦い記憶があるので、 今回の嫁探しでは難民の娘以外は対象外とのこと。 ちなみにガザでは人口の約7割は難民だ。 周囲の評判に問題がなければ、改めて母親と息子で先方に出向き、 両母親の同席のもと、若い二人が初めてご対面、となる。 そこで、Aは相手の娘を穴が開くほどじっくりと観察すると言う。 いわく、「ちょっとした表情の動きも、言葉の選び方も見逃さない」 。 ・・・やだなあ、そんなお見合い。 彼は元来ロマンチックな男ではあるが、同時にかなり緻密なところもあるのだ。 その後、双方が同意の意思を示せば、縁談は大きく前進。 今度は娘の家が、男性側の素行調査をする・・・という段取りとのこと。 ところで。 これまでご対面してきた5人の娘が、なぜ晴れてAのお相手とならなかったか。 Aのお見合い遍歴は、次回に。 つづく
by lusin
| 2009-07-16 17:57
| パレスチナ/イスラエル
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