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2009年 07月 11日
友人から、ある宴へのお誘いを受けた。
結婚式場のような場所で、さまざまな歌や踊り、 いろんなお楽しみのゲームがあったりするという。 よく分からないが、行ってみた。 海に面したのその会場は、プールつきのしゃれた場所だった。 ちびっこを連れた家族、若い男女のグループ、若いカップルに ベテランカップルと、おめかしをした老若男女でにぎわっていた。 出し物はダブカ(パレスチナ伝統のタップダンスみたいな踊り)や、 演歌みたいなアラブの歌、それに若者による、アメリカンな感じの、 ガザでは斬新な歌やダンスも。 それらも楽しめたが、合間のゲームもまた面白かった。 何度目かの幕間でのちょっとしたゲーム。MCが観客に向かって、 「深~く愛し合っているカップル、手を上げてください」、と。 しばし反応がなかったが、一組の若いカップルが立候補し、壇上へ。 どうやら新婚さんらしい。 都合上もう一組必要らしいが、誰も名乗り出ない。 業を煮やしたMC、ある年配のカップルに近づき、尋ねた。 「そこの素敵なお二人さん、あなたたちは夫婦ですか?」 「ああ」 と男性。 「あなたたちは愛し合っていますか?」 「ああ」 と男性。 「じゃあ問題ない、それでは壇上へどうぞ~!」 と有無を言わせぬ段取りで、無理やり彼らをステージに。 二組の夫婦を待ち受けていたのは、コーラ早飲み競争。 夫の手を使わずに、妻が夫にコーラを飲ませ、 先に飲み終えたカップルが勝ち、という他愛もないゲーム。 合図とともに、妻が缶コーラの栓を抜き、 夫の口にコーラを注ぎ込む。 ブホっとむせるベテランカップルの夫。 観客はやんやと大喜び。 結果は、新婚カップルの勝利。 MCが敗れた年配カップルの深い愛を讃え、 観客の拍手の中、二人は席へと戻っていった。 さて、勝者の若いカップルに贈られた賞品は・・・。 「3ヶ月のヘブライ語コースの受講チケット」。 おお・・・。 ヘブライ語は、イスラエルの公用語だ。 だが封鎖された今のガザに生きる人々には、 イスラエルに行くチャンスもなければ、 一般の(?)イスラエル人がガザに来ることもない。 ガザでイスラエル人との接触があるとしたら、 侵攻時に家に押し入ってきた兵士とのご対面、 くらいなものじゃないのか。 つまり、今のガザの大多数の人々には、 ヘブライ語を使う機会などはない。 ・・・そんな賞品もらって嬉しいのか? ブラックジョークか? まあ、外国語を学ぶ動機は、いろいろあるんだろうが。 ちなみに、友人は 「そんな賞品、いらん」 とのこと。 が、別の敬虔なムスリムの友人にこの話をすると、 予想外に、「悪くない賞品なんじゃないか」 とのご意見。 理由はハディース(預言者ムハンマドの言行録)に、 「敵の言語を学べ。さすれば彼らの悪から身を守ることができる」 という趣旨の記述があるから、とのこと。 それはともかく。 宴に足を運んでいたお客さんたちの何人かと話したが、 みな、封鎖されたガザの日々の中での息抜きを、 ささやかな楽しみを求め、ここにやって来ていた。 夕暮れ時に始まった宴は夜遅くまでつづき、 老いも若きも、みな大いに楽しんでいたようだ。 ここがガザだということをしばし忘れてしまう、 ちょっと不思議なひと時だった。
by lusin
| 2009-07-11 02:02
| パレスチナ/イスラエル
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